
Quarktoverse — 章一覧
『Quarktoverse』は、高次元文明と終末後の再構築をテーマにした長編連載作品です。物語は、ひとりのオブザーバーが裂縫のほとりで目覚める場面から始まり、すべての裂縫は宇宙が自己改変を行った際に残された観測点です。
第一部:鳴響篇
最初の亀裂が観測された時、宇宙の運命は逆向きに書き換わり始める。
- 第 001 話公開済みスペクトラの異常
未明のラボ、千年を生きるハッカーが見たことのないエラーが画面に走る。署名は彼自身のものだった。
1246 字4 分 - 第 002 話公開済み不在の観測者
千年雪降る凍土北境。存在しないはずの空白の縁に、足跡も吐息もない何かが立っていた。
1280 字4 分 - 第 003 話公開済み石板の新たな刻紋
32年間石板を拭いてきた老守護者が、ある夜、見覚えのない新しい刻み跡を見つける。予言の印だった。
1852 字5 分 - 第 004 話公開済み彼が書いたのではない
裏口から検索をかけたリカは、自分の署名が85年前から数千回も使われていた事実に直面する。
1705 字5 分 - 第 005 話公開済み自分の足で
オンラインでは追えないと悟ったリカは、装備を整え、誰も到達できない凍土の現場へ自ら飛び立つ。
1388 字4 分 - 第 006 話公開済みCV-1A 発進
千年を生きる男リカが、スペクトラから姿を消した私有飛艇で禁断の凍土北境へ。署名「L.K.S._Core」の謎が動きだす。
1845 字5 分 - 第 007 話公開済み百年前の曙光
78年前の偽名アレン・トリストが書いた一通の報告。その日付と座標が、自分の記憶の霧点とぴたり重なっていた。
1756 字5 分 - 第 008 話公開済み無名の地
凍土北境の雪原に嵌め込まれた色なき長方形。試験球を放ったリカは、ここに何かが「在る」のではないと悟りはじめる。
1631 字5 分 - 第 009 話公開済みインクストーン秘密結社
地下の実験ポッドで、モルフェウスは85年待ち続けた相手の到着を知る。協力ではなく、ただ「待つ」ための85年だった。
1485 字4 分 - 第 010 話公開済み原始裂層
見たこともない四文字が喉から零れ落ちる。過去の自分が仕込んだ起動条件を疑いつつ、リカは二つ目の球を境界へ放つ。
1430 字4 分 - 第 011 話公開済み測量を拒む
投げた球が物理を無視して送り返される。境界は学習しているのか。リカの指先が一瞬、世界から消える。
1324 字4 分 - 第 012 話公開済み_RiftMemory.lks
自起動したモジュールの署名は彼自身。85年前の自分が遺した忠告――私が誰かを思い出そうとするな。
1539 字4 分 - 第 013 話公開済み氷原微震
周囲の雪が毎秒1ミリで空白の地へ滑り込む。座標が漂移する。世界そのものが書き直されている。
1218 字3 分 - 第 014 話公開済み七格
地下1200メートルの祭壇室。鱗を持つ祭司が円盤の回転を読む。七格が動き、第七層協議の条件が満ちる。
1158 字3 分 - 第 015 話公開済み裂縫顕現
空白の地に紫青の線が描かれてゆく。25文字はリカ自身の今月の筆致――誰かが同期して書いている。
1024 字3 分 - 第 016 話公開済み鳴響イベント #001
観測員K-9の前で全網が一斉にCode Black。システムが自ら「裂縫」を新分類に選ぶ。現場の名なき者は誰か。
1508 字4 分 - 第 017 話公開済み鳴響イベント #001(続)
全網にNULLと刻まれた裂縫。8か月前の自分が仕掛けた一条が彼を守る。三つの選択肢の前で、リカは未知へ足を向ける。
1334 字4 分 - 第 018 話公開済み下沈
境界をまたいだ瞬間、リカ自身がダウンロードされていく。感覚が一つずつ抜き取られ、残るのは脳晶と署名だけだった。
1146 字3 分 - 第 019 話公開済みLayer 1
高忠実度の身体で氷晶の通路に立つリカ。動作こそが入力——前へ踏み出した一歩を、システムは選択として記録する。
1417 字4 分 - 第 020 話公開済み氷晶の触手
識別を拒む氷の住人へ、リカはテスト球を差し出す。贈り物が応答を呼び、両側の氷晶が一斉に裂けはじめる。
1438 字4 分 - 第 021 話公開済み死んだ語
ある語が網膜に入った瞬間、激痛が走る。85年前の自分が封じた一語と、目の前で書き換えられていく種子の謎。
1356 字4 分 - 第 022 話公開済みバグを解くハッカー
演算力を食い尽くす書込操作に乗じ、リカは競合状態を突いて命令を紛れ込ませる。追えぬ侵入者にシステムが戸惑う。
1337 字4 分 - 第 023 話公開済み最初のアップグレード
インスタンスが署名を読み、リカは観測者から起動者へ。世界を初めて自分の命令で動かす。だが通路の奥に別のものが。
1339 字4 分 - 第 024 話公開済み氷下の呼吸
層全体の時計はあれの呼吸に従う。レンダリングを犠牲にしても守られる呼吸。そして奥のものが、ついにリカを認める。
1164 字3 分 - 第 025 話公開済みK
氷の裂け目の浮き彫りは、リカの腕の入れ墨と寸分たがわぬK。手がかりを探す者が、自分こそ隠された手がかりだと知る。
1304 字4 分 - 第 026 話公開済み氷下から這い出たもの
二つのKが同源と検証され、奥のものが物理化して這い出る。鱗と流動する眼。お前は呼ばれてここに来たのだ、と告げる。
1051 字3 分 - 第 027 話公開済みはじめての本当の戦い
通路の果てで対峙する非人型の敵。起動者権限が効かない相手の正体に、リカは思いがけない署名を読み取る。
1058 字3 分 - 第 028 話公開済みバックドア
READONLYに降格されたリカは、内部視点でルートディレクトリを探る。生涯の癖が、忘れられた扉へと彼を導いていく。
1332 字4 分 - 第 029 話公開済み規則を書き換える
忘れられた扉から回り込み、リカは重力そのものを書き換える。第一戦の勝利の直後、壁の向こうから注がれる視線に気づく。
1430 字4 分 - 第 030 話公開済み観測者を観るもの
視点が裂縫の外側、測れない影に移る。それはリカの一歩一歩の権限を読んでいた——あの男がバックドアを踏むのを、ずっと待っていた。
1851 字5 分 - 第 031 話公開済みデータ化保存
リカが倒れた敵のそばにしゃがむと、インスタンスが命じる前にsnapshotを走らせる。見たこともない言葉がひとつ跳ね上がる——Shadow。
1979 字6 分 - 第 032 話公開済みShadow_001
リカは最初の影に名をつける——Shadow_001。さっきまで彼を斬り殺そうとしたものが、彼に向かって頭を垂れる。だがそれは、ずっと穹頂のあの亀裂を見つめている。
2016 字6 分 - 第 033 話公開済みインスタンスを離れる
試練に合格したリカは帰還通路を申請し、雪原へ書き戻される。だが地の底の16分の代償と、彼の進入を記録した一条が静かに待っていた。
1897 字5 分 - 第 034 話公開済み報告書
帰還する飛艇のなか、リカは自分の侵入を記したスペクトラの記録を上書きする。だが消せないものが一つ残っていた。
1751 字5 分 - 第 035 話公開済み氷の下のこだま
氷原に跪く一人の女。折れ曲がった一列の背、向きを違えた記号、唱えられた名の裏面の音——そのすべてが、はるか後の誰かのこめかみで脈打つ。
1672 字5 分 - 第 036 話公開済み最初のメモ
帰還する CV-1A のなか、リカの脳晶が独りでに灯る。誰も触れていないはずのインターフェースに、出所不明のメモが一塊。それは彼が口に出さなかった念を、すでに知っていた。
1581 字5 分 - 第 037 話公開済み千年の問い
リカは初めて自分の記憶の断点を調べる。記録は開元925年3月11日で途切れ、それを鎖した者は、彼の鍵を握っていた。
1790 字5 分 - 第 038 話公開済み夢のなかの石碑
ダークエルフの学者ローラは、著者なき一冊の本と繰り返す夢に導かれ、ひとり幽冥森陰へ分け入る。夢の石碑を見つけ——見てはならぬ儀式に行き当たる。
1683 字5 分 - 第 039 話公開済み常連
クォークの眼の向かいのカフェには、毎朝、誰も顔を覚えられない女が座っている。コーヒーのためではない——あの扉の奥の男を見張るために。誰にも知られず、リカを見張る者がいる。
1631 字5 分 - 第 040 話公開済み次の鳴響
第二の鳴響警報が跳ね上がる——今度は凍土ではなく、サンタラニアの地下、リカの足の真下に。事件源署名はまた L.K.S._Core、また 925/3/11。過去の彼は、この街の真下にも一つ埋めていた。リカは立ち上がる――「行くぞ、下へ降りる」。Arc 1 完。
1781 字5 分
