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終末の淵でなお真実を問い続ける人々
この作品について
都市終末・凡人流の長編。社会部記者の李暟宸は、台北・信義区の深夜 03:17、空に走る裂縫を撮影します。しかし周囲の目撃者の記憶は、すべて均されていた。いつ消えてもおかしくない一本の映像を起点に、彼は失踪人口、返身者、裂縫の闇市場、そして書き換えられていく現実の真相へと踏み込んでいきます。
この作品の主人公に超常の力は一切ありません。李暟宸が持っているのは、社会部で叩き込まれた一式だけ——どう聞き出すか、時系列をどう突き合わせるか、相手がどの一言から嘘をつき始めたかをどう見抜くか、廃棄される前の書類をどう複写して別の場所に隠すか。世界が自らを書き換え始めたとき、彼の唯一の武器は記録です。そして記憶を書き換える世界において、記録するという行為は最も危険な職業でもあります。
始まりは一本の映像でした。深夜 03:17、信義区の空が数秒だけ裂ける。数十人が目撃し、翌朝には誰一人思い出せない。残っているのは彼の端末のファイルだけで、しかもそれは時折フレームを落としていきます。そこから手繰ると、組織的に均されてきた一本の線が姿を現します。届け出はあるのに誰も覚えていない失踪者、戻ってきたあとどこかがずれている「返身者」、そして街の底で静かに形を成しつつある裂縫の闇市場。
設定は「凡人の視点」という地に足のついた手触りを意図的に保っています。主人公に装備を支給する組織はなく、肝心なところで規則を説明してくれる師匠も現れません。頼れるのは同業者、情報提供者、警察署に一つ借りのある旧知、そしていつ押収されてもおかしくないカメラ一台。危険とは怪物が飛びかかってくることではありません。取材の途中で自分のノートが誰かにめくられた形跡を見つけること。あるいは昨日は応じてくれた相手が、今日は昨日話した内容を何一つ覚えていないことです。
構成としては、前期は都市の異常と裂縫の実地採証が中心で、一話一件、手がかりが噛み合っていきます。中盤は封鎖区、闇市場の取引、世界規模の裂縫潮へ。規模は一都市から国境を越えた問題へと広がります。後期はより深い真相が明かされ、主人公は手元のものを公表するか、抱えたままでいるかを決めねばなりません。全篇の緊張は、きわめて実際的な問いから来ています——証拠そのものが消えていくとき、自分が正気だとどう証明するのか。
核心命題は怪物の襲来ではなく、世界が真実を削除し始めたとき、最後に現実を守り抜けるのは誰かという問いです。作品はそれを登場人物の前に具体的な選択として置きます。原稿を出すか。情報源を守るか。自分と違う版を覚えている相手を信じるか。絶対的に正しい側は存在せず、あるのはそれぞれがどれだけの代償を引き受けるかの違いだけです。
読み方としては、本編の各話を順に追えば十分です。サイトには宇宙データベース(世界観・裂縫記録・組織勢力・用語解説)、キャラクターファイル、観測レポートも用意されており、読書進度に応じて段階的に解禁されるため、先にばれる心配はありません。本作は繁体字中国語・簡体字中国語・英語・日本語・韓国語の五言語で公開されています。作中のすべての人物・機関・事件・場所の描写はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
「彼は空が裂けた瞬間を撮った。そして、ほかの誰もそれを覚えていなかった。」
観測レポート / 作者からのお知らせ
裂縫イベント追跡、世界観補完、および更新情報
異聞|拾われた一頁の防水ノート、「03:17」と「あの時間に行くな」の一句
松寿路の界隈で拾われた一頁の防水ノート。筆跡は冷静で、記録をつけているようだ。そこには一連の時間と、線の引かれた一句が記されている。「あの時間に、あの場所へ、行くな。」
投稿|あの未明、うちの階下の看板に、読めない字が一つ増えていた
匿名の投稿。未明の03:17、階下の薬局の看板が一度ちらつき、字が読めない形に入れ替わった。4秒ほど。翌日、看板は何ともない。携帯のあの一枚だけが真っ黒だ。
補遺|失踪事件を追ったこの数年、記事に書けなかったいくつかのこと
失踪事件を十数年追ってきて、どうしても記事にできなかったことがいくつかある。出した原稿は勝手に変わるか、そのまま消える。整理して、参考までに。

