亀裂注目

最初の裂け目

午前 03:17、台北の上空が裂けて、数分後に消えた。ある記者が撮ったRAWファイルは、一晩越しに自分から変わっていた。

最終更新:2026.06.20

午前 03:17、台北の上空が裂けて口が開き、数分後に消えた。大多数は眠っていた。起きていた少数も、翌日には自分が何を見たのか説明できなかった。

その線は雲より低く、稲妻より直線的で、形はどちらとも似ていない。それは空そのものの上にあり、台北 101 の北側のある高さから、南へ向かって一本の直線を引いていた。長さは判断できない。幅は指の節を2つ並べたくらいの視角だった。線の両側は午前 03:00 の台北特有の橙みを帯びた灰黒で、線そのものの色には名前がつけられない。

現場に残った記録は連写3枚、動画1本、事後に撮り足した3枚、それに 03:09 に撮った松寿路の街角の時刻同期用の写真を加えて、計8ファイル。動画のなかで裂け目は1分07秒に消える。毎秒60コマで1コマずつ巻き戻すと、67コマ目にはまだあり、68コマ目にはもうない。あいだに移行はない。ピクセルの境界まで拡大しても圧縮の層はきれいで、画も途切れていない。

写真のなかの雲は、彼が記憶している現場よりも平らだった——不自然なほど平らだった。台北 101 の尖塔の金属反射を固定参照にして、03:09 の1枚に 03:17 の1枚を重ねる。8分空いているのに、雲は動いていない。もっとおかしいのは、その写真が一晩越しに、雲の「平らすぎる」度合いを自分から少し弱めていたことだ。ファイルの更新時刻は動いていない。昼にもう一度開くと、さらに少し正常になっていた。

いちばん近い生きた証人は、70メートル離れたコンビニのなかにいた。03:19 ごろ、店員は品出しの箱を下ろしたところだった。さっき窓の外に何かなかったかと訊かれると、その視線はまず後方の上へ2秒ほど動き——ちょうど裂け目がさっきまであった位置の方向だ——それから顔を戻して「いえ、何も」と言った。目は澄んでいて、筋肉も強張っておらず、受け答えのテンポは品出しの進み具合を話していたときと同じだった。彼の目はどこを見ればいいか知っていた。頭のなかにあの記憶がなかった。

夜が明けてから、この件は社会面で180字を占めた。コメントは閉じられ、写真は付かなかった。板橋でバイクごと転びかけた目撃者は電話には出たが、「別に何も見てないですよ」とだけ言い、それから投稿を消した。

それが記録に残った最初の上書きの痕跡であり、すべてはそこから始まった。その日から、午前 03:17 というこの時刻が繰り返し現れるようになる。

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