臨時聖議

教会が非常のときに召集する最高の会議。四百年で 17 回開かれ、14 回は継承のため、3 回は教義の異変のため。継承の 14 回のうち 9 回は、教会が直に新王を指名した。

最終更新:2026.06.20

臨時聖議は白塔教会が非常のときに召集する最高の会議で、常例によらず、定期も設けず、天下に大事があったときにだけ開かれる。

召集の合図は白塔の鐘だ。平素の鐘は時刻どおりに鳴るが、臨時聖議の鐘は時刻によらず、九つ続けて鳴り、あいだに二息の間を置く。中部の教廷じゅうに聞こえ、聞いた者は馬の支度をする。

出席の資格は教廷の儀典に書かれている。教皇、司教六名、七大家族の家主かその正式の使者、計 14 席。表決は記名せず、黒と白の石を銅甕に投じる。甕は聖騎士が担いで席を一巡し、巡り終えたら衆前で空けて数える。数える者は名を読み上げず、数だけを読み上げる。

この仕組みの穴は誰の目にも見えている。教会は七席のうち一席を占めながら、同時に司教六名を握っている。まともに数えれば、あの甕の石の半分は、同じ一つの場所から出ている。

鉄都王朝の 400 年で、臨時聖議は計 17 回開かれた。うち 14 回は継承のためだった——王位が空き、血脈が争われ、即位が阻まれた。残る 3 回は教義の異変のためで、これはいっそう外に言えない事だ。この 3 回の議事の記録はいまも教廷の内庫に封じられ、出席者の名まで削り取られている。

七国が本当に恐れているのは、継承の 14 回の結果のほうだ。9 回は、最後に教会がすべての家族を飛び越えて、直に新王を指名した。残る 5 回でも、教会はそれぞれ最後の一巡りで決定的な一票を投じている。

だから臨時聖議の鐘が鳴るたび、七大家族が聞いているのは召集だけではない。彼らが聞いているのは、この卓では教会がいつでも最後の一手を持っている、という念押しだ。

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