白塔

学院の中央に立つ、高さの測れない白い塔。塔には鐘があり、鐘の音は学院の「底」から昇ってくる。入学のあの夜、鐘は5回鳴った——5つの分院の受付完了に対応している。

最終更新:2026.06.20

学院の中央に立つ高い塔。白いが大理石には見えず、光を返す何かの材質のようである。高さは測れない——十階かもしれず、二十階かもしれず、それ以上かもしれない。塔の頂は低く垂れた雲に呑まれている。新入生は初めてそれを見たとき、たいてい誰の説明も要らずに、この塔の名が「白塔」でしかありえないと分かる。分院の高みの亭まで登ってもう一度見上げても、塔の頂はやはり上にある。そのとき雲は手を伸ばせば触れそうなほど近いのに、実際にはまだ遥かに遠い。

白塔には鐘が一口ある。鐘の音は極めて低く、極めて長く、学院の「底」から昇ってくるように聞こえる。まず耳が受け、次に胸が、次に足の裏が踏んでいる板が、層を成して震える。鐘の音を聞いた者は、自分の肋骨がわけもなくある方向へ「揃おう」としていることに気づく。その震えは鐘の音そのものより深く、散るのも遅い。

入学のあの夜、鐘は5回鳴った——5つの分院の新入生の受付が済んだことに対応している。その期の新入生も、ちょうど5人だった。

鐘が止んだあと、東方分院の中庭の東の壁際の小さな木架に置かれた、拳半分ほどの銅鈴がひとりでに震えだした。窓は閉まっていて、中庭に風はないのに、鈴の身が揺れている。周期は極めて低い。どん—どん—どん—どん—どん、少し止まって、また一巡、鐘の拍と寸分違わない。上級生は言う。止まるさ、五人目の新入生が主庭に座れば止まる。

分院の高みへ登っても塔は感じられる。狭い木の梯子を5階分ほど登ると息が上がりはじめる。体力とは関係がない。東方分院の言い方では、高く登るほど白塔の「核」に近づき、空気が薄くなる。呼吸に障りはしないが、体のほうが覚えている。夜、塔の輪郭には極めて淡い白がかかり、頂の雲は昼より低く、雨になりそうでならない。主庭の火盆が消えたあと、石板一面には自ら透けて出るわずかな微光しか残らない。道が見えるだけの明るさで、細部までは見えない。白塔は変わらず中央に立っている。

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