坊市のどこにでもいて、しかし誰も正体を言えぬ密偵の網。それは人を捕らえず、問いもせず、ただ見て、ただ記すだけ。
坊市で最も下級の「引き取り場」。走火を起こし、誰にも贖われぬ散修がここへ運び込まれる——入った者が出てくる確率は、ゼロだ。
東街の丹舗。当主は周姓、袖口に暗金の牡丹を繍う。最も売れるのは凝気散、裏庭に積まれるのは一缸また一缸の回煞廃丹。
散修が集い、暮らしを立てる場所。東街の丹舗、西街の符屋、井戸底巷の古着——昼は商い、夜になればもう一つの顔。