啓源世界 · 四大陸

いま知られている世界は4つの大陸から成る。中央のサンドラ、西の曙光、東北の悪土、そして南半分を丸ごと横切る、極寒で命取りの凍土大陸。

最終更新:2026.06.22

サンドラ大陸(中央)

サンドラ大陸は世界の中央やや北に横たわり、政治と情報の中枢だ。耶路が真ん中に座り、朱鏡、青嶺、冬霜谷が北面に散らばり、白浜が西に、玄潭が南にある。主文明の中枢サンタラニアはこの大陸の最南端にあって、そこから南はもう海だ。

サンドラの公式地図は内海を中心に据えて描かれ、縮尺も航道も関所も細かく標されている。地図の南縁は凍土の輪郭を一周ぶん押さえていて、その輪郭の内側は一面の空白、何も刷られていない。この図は二年に一度改版されるが、あの空白の一画は一度も動いたことがない。

ここから南へ通じるのがサンドラ通路で、大陸南端と凍土北端をつなぐ。3本の主通路のうち最も短く、公式航路図に描かれている唯一の一本でもある。

曙光大陸(西)

曙光大陸は西にあり、エルフ諸族の領分で、一年じゅう陽の差さない島々も含む。サンドラ政府は曙光の各エルフ族と協定を結んでおり、越境には通行許可が要り、合法航道の数も限られている。

曙光の海図はサンドラの描き方と逆だ。氷影海溝の深さ、暗流の走り、毎年結氷する月まで、びっしりと、層に層を重ねて標されている。陸地のほうはむしろ雑で、海岸線は数筆で流してある。サンドラの地図を見慣れた者が初めて曙光の海図を開くと、たいてい目当ての街がどこにあるか見つけられない。

曙光通路はこの大陸の最南端から凍土北端の西側へ切り込む。このほか曙光の南面には隠し通路が点在しているが、どの公式航路図にも載らない。

悪土大陸(東北)

悪土大陸は東北にある。暴風港、獣王都、竜息島、龐凰城、赤爪島がこの大陸に散らばり、互いにかなりの距離を置いている。最南の海岸絶壁には礓堡が立っていて、海風が毎年岩壁に叩きつけ、堡の海に向いた面の石材は風下の面より一段色が浅い。

悪土南岸の漁師は図を見ない。彼らが読むのは海風だ——風がどちらから来て、何の匂いを連れてくるかで、自分が誰の水域に流れ着いたかを知る。この風読みの手立てを書き留めようとした者がいたが、三ページ目で書けなくなった。同じ風でも月が違えば違う位置を指すからだ。

悪土通路はこの大陸の最南端から凍土北端の東側へ切り込む。3本の主通路のうち最も東寄りの一本だ。

凍土大陸(正南)

凍土大陸は正南に横たわり、世界の南半分を丸ごと占める。中央氷河、西氷河、東氷河と氷火山はどれもその中南部に落ち、凜風島だけが沖に孤立している。

方角というのは、街ではよく取り違えられる。サンタラニアから凍土へ向かうのは南へだ。CV-1A のような越境船の標準航路は、まずサンドラ南端の海岸線をかすめ、氷影海溝へ切り込み、それから凍土北端に降りる。全行程70キロで信号標識点 S-17-R に着く。距離は遠くない。それでも行く者は多くない。

サンドラの公式地図、曙光の海図、悪土の漁師が口伝えする風向き——3枚を同じ卓に広げると、描き方は互いに噛み合わず、縮尺も互いを認めない。重なるのは凍土のあの一画だけだ。どれも、空いている。

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