啓源世界年代記
5000年前の天外隕石の落下から、三族の凍土大陸植民、大戦争、そして和平条約を結んで「開元」を起算するまで——啓源世界一万年の年代記。
起源と天外隕石
一万年前、種が生まれた。大陸と大陸のあいだには険しい海があり、種族は互いに行き来せず、それぞれの土地で単独に暮らしていた。
開元前5000年、天からの厄が降る——大量の隕石が落下し、どの大陸にも散らばった。落下地点から半径1キロの草花は枯れ果て、黒い石は濃い煙をまとって放射を放ち、触れることも近づくこともできなかった。さらに千年が過ぎ、隕石は風化して光を失い、人々はそれを魔石と呼んだ。
魔能と三族の文明
開元前3900年、エルフ族は魔法によって魔石から魔能を精錬し、さまざまな用途を開いた——エネルギー、医療、若さの保持。人類はこのエネルギーを機械に詰め込み、文明はそのまま高速で工業時代へ滑り込んだ。のちに世界の運転を丸ごと支える源石エネルギーの根は、ここにある。
開元前3500年、三族は通商を始めた。さらに下って、人類、オーク族、エルフ族が相次いで海を渡り、世界最南端の凍土大陸に足を踏み入れて、それぞれ地を囲った。
大戦争
開元前1200年、凍土大陸の地盤をめぐって衝突が起き、三族は対立し、戦火が点いた。開元前1100年、エルフ族は魔石から最初の生物兵器を精錬した——死者をふたたび呼び起こす禁術だ。制御を離れた造物は変異を続け、みずから繁殖しはじめ、不死族がこうして生まれた。
開元前1030年、幽能女王が現れ、それまで各自ばらばらだった不死族を一つの意志のもとに束ねた。開元前1000年、女王は不死の大軍を率いて三族へ大戦争を仕掛け、500年まるごと膠着した。魔能が枯れ、女王の掌握が衰えて、ようやく不死族は一つずつ討ち破られていく。開元前500年、三族は凍土上の不死族を掃討した——だが幽能女王は、どこを探しても見つからなかった。
開元紀年から現在まで
開元元年、人類、オーク族、エルフ族は和平条約を結んで凍土から撤退し、ともに家郷を建て直した。世界はこの瞬間を起点として「開元」を数えはじめる。
あの大戦の細部は年月とともにほとんど散り、忘れられた一段の歴史になった——忘れ方があまりに徹底していて、誰かが意図して消したのではないかと疑いたくなるほどに。
いまは開元1010年。源石の在庫は底を打ち、国じゅうがかつてない払底の危機に陥っている。そして最南端、かつて大戦争の戦場だったあの凍土で、全球監視システム「スペクトラ」がついさっき、みずから「リフト」と呼ぶ最初の全網警報を標した。長く静まっていた氷原の奥で、また何かが目を覚ましつつあるらしい。
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