裂縫注目

鳴響事件 #001

システムが初めて「亀裂」という語を弾き出したその瞬間。地点 S-17-R、時刻――開元1010年元旦の未明。

最終更新:2026.06.20

システムが初めて「亀裂」という語を弾き出したその瞬間は、鳴響事件 #001 として記録された。

地点は凍土北境の信号標記点 S-17-R、時刻は開元1010年1月1日の未明。システムに「匿名観測者」として登録されたある人物がその空白の地に踏み入れ、足が着いた途端、全身が引きずり下ろされ、別の座標系へとダウンロードされ、あらゆる機器の視界から消えた。

あの夜のあと、天網の語彙集には、それ自身さえ定義しきれない項目が一つ増えた。これがほんの最初の一声にすぎないことを、誰も知らなかった。

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