見えない墜落

監視画面の中で一人が十二階から落ちていき、まばたきのあとに消える。警報もなく、救急車も来ない。原映像のあの 3 秒には、何もない。

最終更新:2026.06.20

15:17、第七環状路第七番ホーム。向かいの四階建ての高さの公共監視表示壁は、ちょうど三号カメラに切り替わっていた——第七環状路第十二棟住宅棟。

画面の中で一人が十二階から落ちていく。半ばまで落ちたところで、見ていた者がまばたきを一度した。開けたときには人は消えていて、画面はそのまま流れ続けた。ホームでは誰も見上げず、誰も口をきかず、線の内側を外れて歩く者もいない。バスが入ってくる。誤差 0.05 秒。扉が開いてまた閉じた。

学生アクセスチャンネルなら過去 6 時間の低解像度の公開映像を呼び出せる。あの区間を三度繰り返した。何もない。学校データベースの予備チャンネルに切り替え、学籍番号で即時許可を申請し、0.8 秒待って、通り、繰り返した。同じだった。

おかしいのは別のところにあった。15:17:08 から 15:17:11 までのこの 3 秒、画面は平らすぎた。街路樹の葉は一度も風に動かず、路肩の信号の図示の明るさは脈打たず、近い時間帯なら 15:17:09 に画面右下から交差点を通過しているはずの無人車まで、現れなかった。まるまる 3 秒、この通りでは何一つ動かなかった。

建物はまだそこにある。建物の下に人だかりはなく、規制線もなく、清掃された跡もない。舗装タイルのガラス質の反射コーティングは隣のどの一枚とも同じだけ清潔で、反射の明るさは穹律の環境光センサーの読み取り値と小数点以下二桁まで一致する。十二階の窓はすべて閉まり、カーテンは新都城の住宅棟の標準の灰白色、窓台に衝突の跡はない。あのタイルの上を歩くとき、持ち上がった足はひとりでに向きを変え、半円を描いて跨ぎ、隣の一枚に降りる。

通りを挟んだコンビニのガラス扉は、あの建物と斜めに向き合っている。扉のガラスの反射の中では、十二階のあの一列の窓の灰白色が、実物より少しだけ濃い。実物に目を戻すと、もう見分けがつかない。

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