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恒星間植民

西暦 2297 年、人類初の恒星間植民艦ダイダロス号が、41 光年彼方のケプラー942c に到達した。一つの文明の火種を、まるごと一艦に積んで。

最終更新:2026.06.20

西暦 2297 年、真の意味で人類初の恒星間植民艦ダイダロス号が、41 光年彼方のケプラー942c に到達した。艦には覚醒状態の乗員 10,000 名と、休眠艙で眠る植民者 10 万名が乗っていた。

出航は 4 年前、2293 年、地球から。人類が一つの文明の火種をまるごと一艦に積み込み、別の星へ送り出したのはこれが初めてだった。任務は出航文書の一頁目に書かれている——降下し、基地を建て、植民者を目覚めさせ、新しい世界で生き延びる。

任務の下には、もう一枚、契約が敷かれていた。出航前、艦長層は地球連合植民局と『任務履行条項』を交わしている。その第十七条——到達後 24 時間以内に、艦内放送区は初回到達報告の発出動作を完了しなければならない。発出のタイムスタンプは艦内自動契約ログに書き込まれ、同時に契約ビーコンを起動させる。閉鎖された通路で、消費電力が高すぎて一文すら送れず、送れるのは 2 組の状態コードだけだ。

SIGNED    契約履行、議案通過
DELAYED   契約遅延、議案はリスク審査へ

報告そのものは深宇宙のキューを 41 年かけて地球へ届く。状態コードはかからない。地球側の議案会議室が見るのはこの 2 語であり、第十番目の植民艦の出航議案は、ダイダロス号到達後 28 時間目の議案テーブルに乗っていた。

だから到達したその日、艦内のどの班も別々のことを話していた。工学班は投影の前に立って着陸地点の地質スキャンを論じ、争点は勾配と基盤岩だった。生物班はこの 3 か月、たった一つのことしかしていない——地表に植民者を殺しうるものがあるかどうかの確認で、結論欄には「なし」と書かれた。艦長層の予定表にはあの 24 時間のカウントダウンしかない。保安官の側のリストは、誰でも暗唱できる SOP 一式だった。

艦はもともと、それぞれ一区画ずつを受け持つ幾つかの論理に分かれていた。安全班は SOP の条番号を、工学班は着陸地点の勾配と基盤岩を、生物班はアミノ酸表を、艦長層は契約条項と議案日程を頭に入れている。交わる場所は主制御 AI が捌き、4 年の航程で事故は起きなかった。到達したその日、これらの論理は初めて、同じ一組のデータに向かって話さなければならなくなった。

コーヒーはプラスチックの味がする。4 年の航程を終えて、本来の味を期待する者はいない。

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