先遣隊

ダイダロス号到達後、最初に地表へ降りた隊。安全・工学・生物・医療の各班の混成。彼らはこの惑星における人類の目と手だ。

最終更新:2026.06.20

ダイダロス号が到達したあと、最初にケプラー942c の地表へ降りた隊。安全班、工学班、生物班、医療班の混成で、任務は探査、採取、降下地点の評価、そして 10 万の植民者を目覚めさせるための地ならしだ。

第一陣は D+1 午前 08:32 に先遣ポッドの腹部区画から出発し、D+1 午前 11:30 に帰艦した。降下地点は当初予定していた植民地の中心からずらされ、外周 11 キロの森の縁に置かれた。この 11 キロは通信班とヤヌスが算出した最大安全距離で、艦内では報告書の脚註一つと引き換えに勝ち取られたものだ。

降下手順は先遣ポッドの標準どおりに走る。腰の縦方向の安全ベルト 2 本は必ず締める。胸のあの横方向のベルトは長距離加速用で、短距離の降下には要らない。その日、一本余計に締めた者がいた。標本ラベルの書き方は隊で統一されていて、一行で内容と番号と時刻を書き終える。

地表粘層 / 標本 001 / D+1 08:42

隊の規則は細かい。ポッドを出るときは安全班が先に出て周辺を確認し、生物班は最初に踏み出さない。フェイスプレート HUD には大気読値が流れ、イヤホンでは互いの呼吸が拾える。安全ベルト、ラベル、ポッドへ戻る順序にはどれも定型の書き方があり、間違えれば最初からやり直す。分隊長はハッチの前で 3 秒立ち尽くしてから「外は何もない」と報告する。その 3 秒はどの記録にも書かれない。

第二陣は D+2 正午 11:00 に出発、8 人、副艦長が率い、工学班 4 名に軍事護衛 2 名と生物班の助手 1 名、目標は先遣基地の北 23 キロの定例標本拡張だった。第三陣は D+3 午後 14:00 に出発した 10 時間の捜索隊で、12 人——工学班 6、安全班 4、生物班 1、植民監督代表 1。時限は艦長が会議卓で 8 時間と 12 時間のあいだから裁いて出したものだ。

第二陣以降、帰艦の規程は厳しくされた。ダイダロス号へ戻るまでハッチを開けない、到達後は直接 P4 隔離区へ送り、いかなる医療ステーションも通さない。

彼らはこの惑星における人類の目と手だ。地表から艦へ送り返される報告は、どれも前の一通より、言葉にしきれない不安が少しずつ増えている。

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