「お前は天然ではない」

生物班が採った一本の草、その葉脈の中で何かが脈打っていた。検査結果は、非木質、非セルロース、神経伝達タンパク質を含む。植物に神経があるはずがない。

最終更新:2026.06.20

生物班が一本の草を採り、顕微鏡の下に置いた。葉脈の中で何かが脈打っていた。標本ラベルにはこう書かれている——非木質、非セルロース、神経伝達タンパク質を含む。

葉柄の横断面には維管束構造があり、この部分は地球の植物に似ている。だが維管束の中央にはもう一本、直径およそ 0.4 ミリの管があり、内部は電解質溶液で満たされ、そのイオン組成は脊椎動物の神経細胞の軸索内の液体とほぼ一致していた。

植物に神経伝達タンパク質があるはずがない。それは動物、「感じる」ことのできるものにしかない構造だ。だがこの森の草の一株、葉の一枚まで、調べた結果はどれも同じだった。

採取の手順に近道はない。標本は地表から P1 へ入り、P2、P3 を通り、最後に生物班区画の最も内側にある P4 隔離室へ押し込まれる。操作する者は EVA スーツを脱ぎ、P4 防護服に着替える。作業台は外と気密ガラス一枚で隔てられ、紫外線殺菌サイクルが一定の間隔で一巡する。最初の 7 個の標本ケースが作業台に並び、最後の一つには葉が一枚だけ入っていた。

質量分析は 12 分走った。地球の生物は 22 種の標準アミノ酸を使うが、この標本は一つも合わなかった——19 種の非標準アミノ酸に、アミノ酸類似体に似た有機分子 2 種。ピークはすべて、地球の既知の生物が一度も置いたことのない位置に落ちた。

もう一組、さらに説明のつかない数字がある。葉脈の管の内径の誤差は 0.02 ミリ未満で、あの 19 種の非標準アミノ酸の組み合わせは代謝効率に対して最適化されていた。この公差の管路は、自然の進化では容易に生えてこない。

報告の補記欄には、あの一本の草に向けて、科学記録らしくない一文が書かれていた。

おまえは天然のものではない。

書いた者は説明していない。彼女は正式な段落では結論をきつく締め、「設計された傾向がある」とだけ書き、これは仮説だと明記した。医療班の側の意見は、人工的な特徴と自然の進化は並立しうる、というものだった。2 つの判読は並べて上げられ、どちらも相手を覆さなかった。

あの補記は削られなかった。それは 005 番標本のファイルとともに P4 のアーカイブへ入り、欄のラベルは「未分類観察」となっている。

0 人の観測者がいいねしました

観測者コメント

0 件

まだコメントがありません。最初の観測者になりましょう。