異象観測·2026.06.20
異聞|一枚の丹方残頁、その縁に誰も知らぬ批註が一行
廃丹の山から拾われた一枚の丹方残頁。方そのものはありふれているが、縁には小さな字の批註が一行加えられ、筆跡は方とは異なり、それが何を意味するのか誰も知らぬ。
(本投稿は散修が提供した品の転載である。残頁の来歴は不明で、すでに破れており、真偽は未確認である。)
提供した者によれば、この丹方残頁は、百草丹舗の裏路地の廃丹の山の中から、捨てる予定の廃方の束に紛れて拾い出したという。方はよくある凝気散で、分量も火加減も中規中矩、従って煉れば、せいぜい回煞のやや高い次品が一炉できるだけだ。
奇妙なのは、その縁だ。
方は一種の筆跡で、整っている。縁の批註は、もう一種の筆跡で、細く急で、後から誰かが書き足したようだ。批註はただ一行——
此の方の第三味、本来は二銭を用うべし、一銭に非ず。方を改めし者、知る。
「方を改めし者、知る」——方を改めた者は、自ら承知していた。この四字が、見た者の背筋を凍らせる。
つまり、この方は写し間違いではなく、誰かが正しい分量を承知しながら、故意に一味を減らしたのだ。煉り出された丹はわずかに足らず、飲む者は気を補いきれず、日々積もって、経脈に問題が出る。
さらに奇妙なのは、坊市にはこのような残頁が一枚だけではないという。異なる方、異なる方家、なのに縁には皆、同じ細く急な筆跡があり、同じ類の言葉を補っている——どの一味が改められたか、本来はいくつであるべきか。
まるで誰かが、坊市に流通する廃方の中を、一枚また一枚と、手を加えられた箇所を、ひそかに標し戻しているかのようだ。
この者が誰なのか、誰も知らぬ。これを標して何をするのか、それも誰も知らぬ。もしいつか、あなたの手にある廃方の縁にも、細く急な字が一行現れたなら——声を立てるな。まず仕舞っておけ。
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