異象観測·2026.06.20

投稿|あなたも「データ汚染」と付けられたなら、これはたぶん読めるはずだ

出所不明の匿名投稿。ある「健康・安全審査」の前夜に書かれたという。通報し、異議を申し立て、最後には何も言わなくなった——これは、そのたびにシステムが返してきた一言の記録だ。

(本稿は出所不明の匿名投稿であり、内容は未確認。掲載時期はある「健康・安全審査」の前夜とされる。)

これがどれだけ残るかは分からない。あなたに見えるかどうかも分からない。もし見えているなら、たぶんあなたは私と同じ側の人間だ。

半年ほど前から、私は天穹が「存在しない」と言うものを見るようになった。

最初はバス停だった。向かいのビルの監視映像に、上の階から落ちる人が映った。落ちる途中で画面が一度跳び、人は消えていた。元の記録を出してみると、その区間のタイムスタンプは空だった——3 秒。だが私は見た。

その後、こういうことが増えていった。バスで泣いていた子ども。降りたあと、車内の誰もその子がいたことを覚えていない。私の部屋のドアの外の足音。天穹の在宅記録には「活動なし」と書かれている。

やるべきことはやった。公共安全通報インターフェースには欄が三つある。埋めて送ると、0.3 秒後に返ってきた:

システムに当該事象の記録はありません。
当該地点、当該時間帯、異常データなし。
あなたの通報は「第三類データ汚染」として保存されました。最寄りの健康ステーションでの視覚較正をお勧めします。

異議を申し立てた。申し立てに書くのも同じ三つの欄で、返ってきた文面は一字も違わなかった。さらに四回送った。五回目のあと、このアカウントの重複した閲覧は 重複照会行動 に分類されたと画面が言った。その日から、公開映像を一つ出すのに 0.4 秒よけいにかかる。

学校は別の線で動く。担任は、思春期にはよくある現象だから休みなさいと言った。事務が記録したのはこうだ。今週中に予約を済ませておらず、来学期の総合評価に影響する、と。同じ私なのに、二つの記録は互いに突き合わされない。

私は言わないことを覚えた。人に話しても、怒鳴られも、叱られもしない。ただ目つきが変わるだけだ。

家がいちばん早かった。母ははじめ、よく眠れているかと訊き、次に予約したかと訊き、この二か月は訊かなくなった。毎晩、夕食の前に健康の注意事項を読み上げてくれるだけだ。父が言ったのは一言きりだ。一度行けばいい、すぐ済む。友人のほうは誘いが減っていった。

そのあと健康ステーションの通知が来た。知覚偏差が上限を超えた、再診を勧める。言い方はとても丁寧だった。ただ最後の「変更は受け付けません」の一行を、私は長いこと見ていた。

いくつか試した。穹律を外して引き出しに入れ、16 時間後に着け直すと、位置も、加速度も、環境光も、まとめて補われていた。紙に書くことにした。囲いの内側を撮ろうともした。女性の声が、ここは再区画中の工事区域なので撮影機能を一時的に固定しました、と言った。

健康ステーションには行った。そこで一人の男子を見た。目が空で、口元にとても標準的な笑みがあった。誰かに教わったのかと思うほど標準的だった。私は彼を知っている。先月、彼も付けられた側だ。

これを書いているのは、一つだけ言いたいことがあるからだ。天穹が存在しないと言うものが、あなたにも見えているなら、あなたは壊れていない。まだ「直されて」いないだけだ。

そうだ。一度、健康ステーションのガラスの反射の中に、四文字が見えた。一瞬で消えた。今もそれが何なのか調べがつかない。ここに書いておく。読める人のために:

萬法有缺

その先に何があるか知っていても、私に返信しないでほしい。見られている。

観測者コメント

0 件

まだコメントがありません。最初の観測者になりましょう。